卒業生・修了生の皆様
2019年度末をもちまして、看護学の学位を取得した80名の看護学科卒業生の皆さん、修士(看護学)の学位を取得した8名の博士前期課程修了生の皆さん、2名の博士(看護学)の学位を取得された博士後期課程修了生の皆さん、10名の助産学専攻科修了生の皆さん、25名の認定看護師教育課程修了生の皆さん、ご卒業・修了おめでとうございます。それぞれの課程における勉学や研究は、そう容易くはなかったと思います。それを乗り越えて、一つのゴールに達しましたことは、皆さんの日々の努力と研鑽の証しです。看護学科・科学域の教員一同、大変誇りに思っております。
卒業・修了は、大きな区切りです。この区切りにおいて皆さんは、未来と過去に目を向けていることと思います。過去は、どこまで振り返ることができるでしょうか。入学のために頑張っていた頃でしょうか。あるいは、懸命に患者さんのケアを考え、実践していた在籍中でしょうか。研究のために、たくさんのデータや資料にうもれていた頃でしょうか。お一人おひとりが振り返る過去から今までの幅は、皆さんの人生における卒業・修了の意味を生む背景となっています。じっくり思い出して浸ってみてください。
また、卒業・修了の意味は、これからの未来を方向づけてくれます。今、皆さんは未来をどのように思い描いているでしょうか。4月からの社会活動でしょうか。皆さんの夢がかなった、その姿でしょうか。夢は目標でもありますが、未だくっきり輪郭は描かれていない、そのような特徴を持っています。その意味で、皆さんの今後の活動は、夢を明確にしていく取り組みかもしれません。
特に看護は、つねに患者さん、利用者さん、市民の方々、共に働く方々と一緒に作っていくことを特徴としています。そのため、夢は今、思い描いていることとは別の現れとして、皆さんに結実するかもしれません。大事なことは多くの方々との出会いです。出会いのそのつど、何が求められているのかをじっくり考えることです。一人で考えるだけではなく、異なった考えを持っているかもしれない方々と一緒に考え、違いを知り、自分を知ることです。是非、想像もしていなかったような夢を、実現させて下さい。
ある小説に、「同じ根から出た植物の、まったく別のあらわれとしての花と葉」という描写があります。2人の主人公を形容するこの表現は、首都大学東京の看護という同じ“根”から芽吹いた皆さんが、別々の人生を歩み、花や葉として成長される、それを現しているように読めました。別々の人生ですが、首都大学東京の看護は、共有しています。皆さんと共に考え、作ってきた看護は、首都大学東京の看護の根となり、歴史となりました。たくさんの財産を、ありがとうございました。私たち教員は、皆さんと一緒に築いてきた看護を大事にしつつ、日々、新たな看護を考えつつ作り続けます。
2019年度末は、皆さんにとっての区切りの時と新型コロナウイルス感染症対策とが重なり、直接、お祝いをすることがかないませんでした。しかし、看護学科・看護科学域の全ての教員が皆さんと共に過ごした時間を大事に思い、また皆さんの未来にエールを送っています。これからは同じ看護職として、地域の、そして世界の方々の健康を共に考える“同士”です。身を置く場は変わりますが、未だ目途が立たない世界的な課題に対し、一緒に考え、それぞれの立場から取り組んでいきましょう。
皆さんの未来のご活躍を、期待しています。また、お会いできますように。
保護者の皆様、本学の教育にご尽力くださいました多くの皆様、これまでのご支援をありがとうございました。看護学科教員一同、ご支援に深く感謝いたします。
2020年3月
看護学科長・看護科学域長
西村 ユミ